こんにちは、Keolaです。
お家づくりにおいて、一番と言っても過言ではないくらい悩むのがハウスメーカー選び。
我が家が一条工務店を選んだ理由第二弾です!
第一弾の「ランニングコスト」をまだ読まれていない方はこちらからどうぞ。
今回は②ハウスメーカーの経営状況についてです。
ハウスメーカーの経営状況を知ることの重要性
我が家は建築費用を可能な限り安くしたかったため、
検討段階では大手ハウスメーカーよりも地元密着型の工務店の方がいいのではないか、という思いがありました。
ただ、住んだことのない県外での土地購入だったため、理想の家を建ててくれる工務店を探すのは難しいと感じました。
また、一般的に中小企業に位置づけられる地元密着型の工務店は大手ハウスメーカーより倒産率が高いと言えますので、
老後も住むかもしれない家をメンテナンスしていくには、家を建てた工務店が潰れずに経営し続けていける財政状況でないと先行きが不安です。
県外で建てる我が家にとって、理想のお家を建ててくれる工務店を探すだけでも大変そうなのに、経営状況まで把握しないといけないのは至難の業です…
そのような理由から、我が家は長期に渡ってアフターサービスを受けることのできる大手ハウスメーカーで家を建てることにしました。
とはいえ、全国展開しているハウスメーカーでも、倒産しない保証はありません。
こればかりは誰にも分かりませんよね。
富士ハウスの倒産は記憶に新しいのではないでしょうか。破産手続き時点で未完成だった富士ハウスの着工済み物件は728棟あったそうです。

富士ハウスは住宅完成保証制度に加入していなかったため、多くの人が被害にあわれました。
「住宅完成保証制度」とは、
注文住宅の建築中に、施工会社の倒産等で工事が継続できなくなった場合に、建て主が最小限の追加負担で住宅を完成できるよう保証する制度のこと
着手金や上棟金などを支払ったまま、建設がストップし、いつ完成するのか、誰が引き継いでくれるのか分からないような状況が起こりうるというのは怖いですね…
「展示ハウスのような家を建てることができる」というのが売りの一条工務店。
それを実現しているのが、一条工務店の魅力でもある一条オリジナル製品。
大量生産でコストを抑えた自社製品が標準仕様となっており、他社ではオプション扱いのような仕様もアップグレードすることなく取り入れることができます。
裏を返せば、自社製品がふんだんに採用されている一条ハウスにおいて、会社の倒産はかなりのリスクと言えます。
一条工務店にしか直せないような家を建ててしまうと、万が一、一条工務店が倒産したときにメンテナンスしていくことが困難になるということを理解しておかなければいけません。
一条工務店に魅力を感じ、「一条工務店で家を建てたい!」という気持ちでいっぱいでしたが、
一条工務店は今後も本当に大丈夫??という疑問を解消してからでないと、契約に踏み切れませんでした。
非上場ハウスメーカーの財務情報を無料で見る方法
一条工務店はかなり大きいハウスメーカーですが、実は非上場企業です。
その理由を我が家の営業担当者さん聞いてみました。

一条工務店はなぜ上場してないのですか?

上場しないことで株主に左右されずに、
会社の経営方針を決めていけるからです!
一条工務店のこだわった考え方が好きな私にとっては納得のいく回答でした。
通常、上場企業であれば、多岐にわたる株主の意見を聞かなければいけなくなり、万人受けする普通のお家しか建てられなくなっていく傾向にあります。
他社とは逸脱した一条工務店の特徴は、非上場企業だからこそ実現できているのではないかと思います。
しかし、デメリットもあります。
上場している企業の場合、会社の経営状態はIR(Investor Relations)の情報から把握することが可能ですが、
非上場企業の場合は会社の経営状況を把握するための財務情報が公開されていません。
この場合、企業の財務情報を入手する方法は限られてきます。主な方法としては、帝国データバンクなどの信用調査会社からデータを購入するなどが一般的です。
ざっくりとした情報でも問題ないよ!という方は無料で入手する方法もあります。
それは、「経営事項審査」です。一般的に経審(ケイシン)と言われています。
「経営事項審査」とは、
公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。
…この審査は「経営状況」と「経営規模」、「技術力」、「その他の審査項目(社会性等)」について数値化し評価するものです。 引用:建設業情報管理センター
公共工事への入札を希望する建設業者は、必ず審査基準日(通常は決算日)に審査を受け、総合評定通知書を取得しておく必要があります。
この会社に発注しても大丈夫?ということを第三者機関に証明してもらうことで、工事受注の増加を見込めるため、業者にとってはとても重要な審査となります。
経審結果を入手することができるサイトはいくつかあります。
今回は、建設業情報管理センターが運営しているサイトを紹介します。
トップページ ⇒ 経審結果の公表 ⇒ 許可番号検索
と進み、「00-010540」と入力すると、一条工務店が出てきます。

右の「詳細」をクリックすると審査結果のPDFがダウンロードできます。
上のほうは無視していただいて、左下にある情報が今回知りたい情報です。

ここには一条工務店直営分のみで、フランチャイズ店舗分は含まれていませんが、全体像を把握するための参考にはなると思います。
一条工務店の経審結果から分かること
詳細な内訳は記載されていないため分かりませんが、経審の情報をもとに簡単な貸借対照表を作成してみました。

この経審結果から分かったことを紹介します。
会社の安定性が分かる「自己資本比率」

会社の安定性を見るための指標である自己資本比率。
高ければ高いほど安定しており、「中長期的に倒産の確立が低い会社」という判断の基準となります。
自己資本比率が高い企業は、売り上げが下がったときに支払いが困難な状況になっても、自己資本(返済の必要がない資本)が多いため、不本意な借入をすることなく事業を継続していくことができます。
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 x 100
上記の計算式に当てはめると、一条工務店の自己資本比率は45.2%となります。
自己資本比率は業種によってことなりますが、一般的には50%以上でかなり良好な状態と言え、少なくとも30%は確保しておくべきだと言われています。
業種別の平均を見ると、建設業が43.23%ですので、一条工務店の自己資本比率は平均以上ということになります。
業種 | 自己資本比率 |
---|---|
建設業 | 43.23% |
製造業 | 9.33% |
情報通信事業 | 10.30% |
卸売業 | 41.03% |
小売業 | 30.99% |
不動産業、物品賃貸業 | 39.94% |
宿泊業、飲食サービス業 | 15.21% |
生活関連サービス業、娯楽業 | 33.42% |
自由に使えるお金「利益余剰金(内部留保)」
先に紹介した「自己資本」は資本金と利益余剰金(内部留保)で構成されています。
よって、利益余剰金が多いほど、自己資本比率も高くなります。
利益余剰金とは、
企業が生み出した利益を積み立てたお金。従業員への給料や、金融機関への利息、その他税金などを支払って最終的に残った利益のこと。
本業の経営に直接的に関わるのは利益余剰金です。本業が順調であれば毎年増えていきますし、現金のままで持つ必要はないので、会社の成長のために投資していくことができます。

利益余剰金は会社が成長するための原動力!
利益余剰金も、その企業が中長期にわたって経営していく余力があるのかどうかの判断基準となります。
経審には利益余剰金が「100億円」という評価になっています。

この利益余剰金の指標は下記の数式で算出されます。
利益余剰金(絶対額)の指標 = 利益余剰金 ÷ 1億
上限100億円、下限-3億円で評価されますので、一条工務店は100億円もしくはそれ以上ということになります。
実際の利益余剰金は2183億円なので、一条工務店は満点です。
この利益余剰金は自由に使えるお金のため、先に書いたように、会社の成長のための投資に使うこともできますが、寄付や不測の事態での対応に充てることも可能です。
2017年に起きた一条工務店のフィリピン工場での火災は有名ですね。現地では日本人を含め多くの方が負傷されました。

どこまで正確なのかは不明ですが、この火災での被害額は約339億円だったと当時のニュースに記載されていました。
これは、現地での被害額であり、実際には日本で建設中の棟数分、遅延や資材不足に対するお詫びのサービスをしていますので、それ以上となります。
今後絶対にあってはならないですが、仮に同等規模の工場火災が起きたとしても現在の利益余剰金の金額であれば、経営が難しくなるということはなさそうですね。
また、2012年には浜松市に対して防波堤建設費として総額300億円の寄付をしました。

この寄付金額にも驚きですが、
さらに知って驚いたのは、先に記載した火災ほど大きな規模ではなかったようですが、同時期に工場が丸ごと延焼してしまう火災が起きており、2017年の火災は2回目だったということです。
参考:Japanese firm in Cavite loses P15M to fire(08:57 PM October 21, 2012)
当時のニュースによると幸い負傷者はいなかったようです。でもなぜ、2回も火災が起きてしまったのでしょうか…
理由は分かりませんが、ここでお伝えしたかったのは、
浜松市への寄付金額と比べると、大きな被害額ではなかったのものの、300億円の寄付をして、さらにフィリピン工場火災における被害額も吸収できたということは、
それだけ内部留保があり、ある程度の不測の事態にも耐えることのできる経営状況だと言えるのではないでしょうか。
無借金経営の根拠「純支払利息比率」
一条工務店の営業の決まり文句なのかもしれませんが、私自身一条工務店を検討している段階で、営業担当者さんに言われたのを覚えています。

ご安心ください。一条工務店は「無借金経営」なんです!
この根拠となるのが、経審に記載されている「純支払利息比率」です。

一条工務店の審査結果は「-0.3%」となっています。
これは次の計算式で算出されます。
{(【支払利息】 ー 【受取利息配当金】) ÷ 【売上高】} x 100
簡単に言うと、実質的な支払利息がどのくらいあるのかを示す指標です。
上限5.1%、下限-0.3%で数値が小さいほど健全であるという評価になります。
一条工務店は最も良い-0.3%という評価になっていることが分かりますね。
経審における純支払利息比率の寄与度は「29.9%」。経審の審査においてもかなり重要視されていることが分かります。

そもそも「無借金経営」と言っているのに、なぜ支払利息が発生しているの?

前提として、経営していくうえで無借金というのは不可能です。
例えば、利息は発生していませんが、従業員への給料も時間に対しての支払いである以上、前借状態ですので、ある意味借金と言えます。
ここで重要なのは、借金があるかどうかではなく、(もちろん少ないほうがいいですが、、)
借金に対する利息の有無です。
「貸主に対して支払わなければいけない利息」より
「会社に入ってくる預金利息や有価証券の配当金」が多ければ、
全体で黒字のため、「利息が発生している借入はない」ということになります。
これが、無借金経営であると言える理由です。
負債が多ければ景気変動により利益が減少した場合、返済原資が不足し倒産のリスクが高まりますが、無借金経営の状態は景気変動による影響を低減させることができるため、企業存続の可能性を少しでも高めることができます。
一条工務店は急成長している!
今年1月に一条工務店が同時に3つの世界記録を達成しました。

三つのうちの一つが「最新年間で最も売れている注文住宅会社」。
一条工務店が消費者に認められている証拠ですね。もう少し詳しく調べてみました。
最新年間で最も売れている注文住宅

具体的にどのくらい売っているの?というのがやはり気になるところ。
一条工務店の公式ウェブサイトに掲載されているグラフによると、年間約14000戸。

比較されているハウスメーカーの情報源を見つけました。
住宅産業新聞社が発表している最新の販売戸数ランキング。

いままで積水ハウスと比較されてきましたが、ついに追い抜いたということですね。
i-smartを販売開始した2011年以降、右肩上がりで成長しているようです。
また、i-samrtは2015年~2019年の商品別販売棟数ランキングで5年連続No.1。
これに関しては知りませんでしたが、我が家は迷わずi-smartを選びました^^

まとめ
せっかく注文住宅でお家を建てるなら理想のお家を建ててくれるハウスメーカーにしたいですよね。
でも、外観や性能だけで選んでしまうと、あとで後悔することになるということも覚えておかなければいけません。
未来は誰にも分かりません。
しかし、後悔のないハウスメーカー選びをするには、ハウスメーカーの財政状況や、評判を調べて今後も成長していける会社なのかを見極める必要があると改めて痛感しました。
今のところ一条工務店は順調です。
また、今後も一条工務店のこだわりとアイデアが住宅の常識を覆していってくれると信じています!
コメント